ナカザワ

上飯田の話のナカザワのレビュー・感想・評価

上飯田の話(2021年製作の映画)
4.2
補聴器屋さんの前で立ち話するお婆さん、ベランダで洗濯物を干すおばさん、公園でキャッチボールをするおじいさんたち、鳥、横切る車、閉じられたシャッター。そういう偶然映り込むものたちの必然性によって作られた映画だった。上飯田を舞台にした3つの話のオムニバス(ちょっと交差する)だが、それぞれのタイトルと話が微妙に噛み合ってなくて、その意図を考えるのも一興。普段気にも留めないような、日常的に感じる些細な引っかかりをあまりにもふんわり描いているので、それこそ3つめの話に出てくる夢で見た景色のような、デジャヴのような、明日にはすっかり内容を忘れてしまいそうな一本。いい意味で。