Reko

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのRekoのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます


母を喪った孤独感から友人家族に依存する主人公が、お遊びの降霊体験をしたことにより破滅へ進んでいくホラー作品。


妄想か? 現実か? 幻覚か? と主人公と共に疑心暗鬼になる怖さのまあまあ良作。
先の読めない前半に比べ、後半は結末まで予想できてしまう失速感が残念だった。

設定はよく見るものだが、若者がドラッグをキメる様なノリを降霊に取り込み、思春期の複雑な人間関係も交えて、じんわりと感じる不快さとにじり寄る霊の怖さが上手く組み合わさった恐怖を作り出している。
主人公が微妙に共感できない人物像なのと、(おそらく最初から)どんどん選択肢を間違えていく様子がやきもきする。

つまりは主人公ミアが最初に降霊した時、90秒を過ぎてしまったことで辺獄(リンボ)の霊たち(もしくはミアに降霊した霊)にミアの情報が伝わり、ライリーが憑依させた霊が彼女を騙そうとしたのだろう。

劇中で霊を見たのは全てミア視点のみであり、ライリーこそ本当にミアの母親に対面したかのような素振りを見せたものの、明言してはいない。それもミアの母親に擬態した霊だったのだろうと予測できるが、作中に起こった悲劇は全て、『ミアの悪夢』として片付けられる可能性もある。

結局ミアは、父親の肉声よりも母親の幻聴(悪霊の声)を信じてしまった。
全て悪い方の選択肢を選んでしまったことで、最後の最後にツケを払わされたのである。

死後、母親にも会えず、ミアは辺獄でさまよっているのだろうか。後味は悪いが、自分の蒔いた種なので同情もできない。

ライリーが無事で良かった。
でも、ライリーの魂はリンボに囚われていたのに、ミアの肉体が身代わりになっただけで救われたのだろうか?

ミアの父親が不憫すぎる。
妻を自殺で喪い、娘まで交通事故(実際は自殺に等しい)で喪い、病院で見た後ろ姿が切なかった。もっと早く話していれば、ミアとの関係を修復できたのだろうか…
お互い寄り添っていれば、もしかしたら今回の悲劇は起こらなかったのかも知れない。



好みの問題だと思うが、「ミッドサマー」や「ヘレディタリー/継承」より怖いかと聞かれると特に怖くはない。
不快で気持ち悪いだけである。

説明が少なくトントンと進むので、余白の部分を自分で考察出来るのが良いところだと思う。

てか固めてるとはいえ、あの石膏の中に生腕入ってんのヤバいな? 吉良吉影かな?
Reko

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