MasaichiYaguchi

12日の殺人のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.5
「悪なき殺人」のドミニク・モル監督によるサスペンススリラーは、ポーリーヌ・ゲナによる2020年のノンフィクション書籍をもとに、モル監督とジル・マルシャンが共同で脚本を手がけ、未解決事件の闇に飲み込まれていく刑事の姿をスリリングに炙り出す。
10月12日の夜、女子大学生クララが焼死体となって発見される。
捜査を担当するのは、昇進したばかりの刑事ヨアンとベテラン刑事マルソー、2人はクララの周囲の容疑者となり得る関係者に聞き込みをするが、男たちは全員クララと関係を持っていたことが判明する。
殺害は明らかに計画的な犯行であるにも関わらず、容疑者を特定することが出来ない。
捜査が行き詰まるなか、ヨアンは事件の闇へと飲み込まれていくことになる。
2013年5月にフランスのセーヌエマルヌ県ラニー・シュル・マルヌで起きた「モード・マレシャル殺人事件」に基づいている本作は、警察の捜査手段や思考が社会の脆弱性を浮き彫りにすると共に、女性に対する暴力の常態化を映し出す。