2024/3/19 鑑賞。
『殺人の追憶』のアンサー映画的な印象。ほぼ同じようなストーリーで最後だけが違う。一方はラストでさらなる闇を目撃し、一方は解放される。共に事件は解決されないままなのに。
容疑者全員、誰が犯人だとしても成り立つストーリーは作れるだろう。機会さえあれば誰が犯人であってもおかしくなかったわけだ。それが中盤で発せられる被害者の親友のことばにつながる。(誰が犯人かを考えてみて見た人それぞれのバージョンを作ってみるのも面白いのでは)
そこまでを第一部として、後半は男ばかりの閉塞感あふれる物語に二人の女性が入ってくる。後に検事とわかる女性が歩いてくるシーンがけっこう長く映され、それが切り替えのポイントとなっている。前半の男たちの思い込みと悩みが、後半に女性の視点が入ってくることにより、より重層的なものに見えてくる。
『悪なき殺人』のようなオチはないので、それを期待して見るとちょっと肩透かしかも。ラストはちょっと唐突感あるが、あえて"あまり自然ではない/直感に反する"形に持ち込むことでより”複雑な現実”を描いているようでもある。ちょっと考えないと違和感があるところがフランス映画っぽい気もする。