映画を見た人は『インセプション』を思い出すんじゃないかな。
ただ、ノーラン作品と違って世界を舞台にする大掛かりな陰謀物語ではなく、オースティンという地味な都市のスモールワールドだけが舞台なため、物語に引っ張り込むようなパワーはやや弱かった。
『インセプション』のように知性のウンチクを重ねてロジックを組み立て「案外そういう陰謀もあるかも」と瞬間的に思わせるほどの説得力はない。ここが残念ポイント。
ロドリゲスが20年かけて仕込んだ作品のようだが、脚本は学術的なウンチクと描写が浅く、これが彼の知性の限界なのだろう。もはや知性とロジックのカテゴリーで勝負してもかなわないことを認め、映像ギミックや一発芸的なドンデン返しで客を煙に巻こうというパターンだ。
CGはそりゃないぜレベルだけども。
ロドリゲス流の結末を正当化するために次々と作り手に都合のいい情報を加えていく。あざといやり方なのであまりプロの作家は多用しないと思う。度を超すといわゆるアンフェアな手法になるのだ。
エンドクレジットのシークエンスは必要かしら。
このあたりも彼のあざとさが見える。
ドンデン返しものとしては、まあまあ。見ても後悔はしない。
ベン・アフレックはちゃらいが実は賢いキャラを演じるのが最高なのだが、ジョークもなく悩み顔ばかりの役はいまいち馴染めない。