窓ぎわのトットちゃんのくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

噂に違わぬ力作。黒柳徹子の礎となっているであろう、トモエ學園の仲間たちとの生活を描きながら、徐々に豊かな生活を脅かしていく戦争の存在感と恐ろしさを直接的な描写を用いずとも克明に映し出している。
とにかくジワジワと忍び寄る戦争の影を映し出すのが上手い。ヒヨコの死はトットちゃんというものを死を知らしめる存在となり、悪ガキ達は「そんなんじゃ兵隊に行けないよ」と言い、カラフルだった弁当は日の丸弁当に成り下がる。そんな気づいたら戦争一色になっていた世界の中でも、子供ならではのイマジネーションで奔放に生きるトットちゃんや、学校が焼かれても「次はどんな学校を建てようか」と言う小林先生、ラストのチンドン屋の姿に希望を見た。

良い作品ではあったが、一つ苦言を呈すと泰明ちゃんが何故死んだのかの理由は欲しかった。戦争がきっかけで亡くなったのか、小児麻痺が悪化してしまい亡くなってしまったのか、その辺りが曖昧になってしまうと作品にブレが生じてしまう可能性があると思ったので、ハッキリ明かすべきだったのではないかと思う。