YukiBan

さらば、わが愛/覇王別姫 4KのYukiBanのレビュー・感想・評価

4.2
戦中の日本軍占領、戦後の文化大革命の大きく2つの出来事で京劇は存続の危機に晒される。

Aさんはプライベートでも別姫という役になりきっている天才役者。
Bさんはプライベートと舞台を完全に切り離している有名役者。
AさんとBさんは子ども時代から同じ一座で厳しい稽古を共に乗り越えてきた義兄弟である。

Aさんはどの時代も観客が日本の兵隊であろうと最上の演技を披露していた。
Bさんは京劇が迫害の対象になると舞台を下りて時代になびいてきた。

俗物なBさんは女郎と結婚する。女郎はBさんとの静かな暮らしを望み、Bさんのプライベートに介入してくるAさんとの縁を切り、京劇をもBさんから捨てさせようとする。

この女郎さんの結婚して子どもを産んで普通な生活を送りたいがために旦那さんの自由を剥奪する考えが嫌だったが、時代に迎合しつつも京劇だけは捨てないBさんに感化され、この女郎さんも京劇を大切に思うようになる。

文化大革命の弾圧を受けた際、Bさんは命惜しさに妻とAさんを裏切る発言をし、2人はその場では命は助かったものの、2人とも自殺という最悪の破滅を迎える。
京劇の衣装や道具をBさんが次々に炎に放り込む中、1番大切な演劇「覇王別姫」で使う刀が炎に包まれたのを見た女郎さんはなりふり構わずその刀を炎から救い出す。
そんな女郎さんを見てもAさんは彼女は遊郭に勤めていた卑しい女だと告発する。Bさんを俗物にした彼女をAさんは心底許せなかったのだろう。
彼女は阿片の副作用で苦しんでいたAさんを看病したり、心を改め、Aさんに歩み寄ろうとしていたのに。

1番人間らしくて良いなと思った人が真っ先に死んでいった。
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