ぺた

走れない人の走り方のぺたのレビュー・感想・評価

走れない人の走り方(2023年製作の映画)
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映画を観た日、辛いことが起こって駅で歩けなくなった。勇気を出して友人に電話をかけるとすぐさま駆けつけてくれて、ごった返す駅を抜け出し、ご飯を食べに連れてってくれた。その帰りに二人で一緒に映画を観に行った。そんな日に見た映画だった。
人生まじでにっちもさっちも行かない。難しいことを難しいと伝えるのもままならない。藻掻くとコケる。頻繁に起こるちいさな絶望に気抜けばやられそうになるし、耐えきれず折れる事だってある。くそ。
そんな中でも、ひょんなことで からっと好転していく時が来る。この映画でもそうだった。猫。映画の中でリズムが変わる瞬間が小気味良い。映画との境界線がなんか曖昧で(劇中でも映画館で映画を観ていたから?)、観ながら今日のわたしもそうだと気づく。ふとした時に私を照らしに来てくれる。今日のラッキーパーソンは大切な友人。
風に揺れる鮮やかな赤のワンピースが素敵ね、劇中のざらっとした映像と空の色、度々出てくるタバコのシーンが印象的。そしてタイトルが好きだ。キャッチコピーも本当に好きだ。こんな素敵な映画をこのタイミングで観れたのは幸運だった。隣にいてくれた友人に感謝、映画に感謝。
映画の中で誰かと歩く彼女の姿に、この日全力で背中を押してもらった。やれることはやるしかないんだ。
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