けい

走れない人の走り方のけいのネタバレレビュー・内容・結末

走れない人の走り方(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

女性映画監督の苦悩を中心に映画製作に起こるトラブルの数々をリアルに描きながら、さらにプロデューサー、カメラマン、映画館スタッフ、オーディション風景、観客など、映画に関わる人たちの姿も赤裸々に切り取る。映画を鑑賞しているだけではわからない、映画とは限られた予算や時間との戦いの果てに生まれているという事実、画面には映らない裏側を垣間見れる。

理想と現実のズレに葛藤する映画監督を熱演した山本奈衣瑠は、同時上映した同監督作の短編『鏡』にも出演。相手に迷惑かけまいとした行動が結果的に迷惑をかけてしまう主人公に自分と重なる部分を感じてしまい、つい応援したくなってしまった。

台湾出身の蘇ゆ淳(スー・ユチュン)監督がカメオ出演していたと後から知ったのだが、思い返すと出演シーンがかなり印象的なので結構お茶目な監督だとわかる(笑)映画と真剣に向き合う実体験から生まれた、そんな作品に感じた。

そして何より印象的なのは、『横浜シネマリン』という映画館で劇中で撮影された映画を観客が観ているというシーン、そして、スクリーン側から映画が終わって観客たちが出ていくまでをエンドロール後に流すという異色の幕引き。実はまさにその『横浜シネマリン』で本作を鑑賞したので、同じ映画館のスクリーンに映し出されている映像を実際のスクリーンで観ている、というかなり不思議な映画体験ができた。
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