ショウジ

ミッシングのショウジのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.8
試写会にて鑑賞。
まるでドキュメンタリーかのような臨場感があり、観客が自分事として観るように作られているため「子どもがいなくてよかった…」と思ってしまったくらい観ていてキツかった。子どもがいる人はもっと辛かっただろうと思う。鑑賞後のトークショーで、オンライン参加だった監督に質問をしていたお客さんは子どもがいるとのことで涙声だったし…

とはいえ、微に入り細を穿ち、とにかく真摯に丁寧に作られている作品なのが伝わってきたので観てよかった。人間って本当に面倒くさい生き物だし、うんざりすることも多いけれど、作中で登場する主人公のバイト先の後輩や弟の職場の先輩、印刷屋のおっちゃんや刑事、最後の方で登場する女性など、人生捨てたもんじゃないと思えるような出会いが時々あるから人間は生きていられるんだろうなと思った。

中村倫也演ずる記者も根は悪い人ではないのだろうが、途中ちょっとおかしくなってしまうあたり、やはりマスゴミに毒されている人間だと思った。
しっかし、あの地方局、東海テレビを彷彿とさせるテレビ局だったなあ…
何軒か地方局を取材したと監督が言っていたので、その中にあったのかもしれない。
主人公夫婦はもちろん可哀想だけど、独身で子どももいない私にとってはマスゴミにつきまとわれ、物理的な被害にも遭う弟が本当に可哀想でならなくて、一番感情移入してしまった。
ああいう風に取材される機会があったとしても、一切応じないようにしようと心に誓った。

ひとつそれはないだろうと思ったのは2年経ってもネット上で盗撮写真まで貼られて叩かれているという描写。最近は毎時毎分叩きのネタが替わるので、2年も経てばあそこまでの熱量で叩く人はいないと思う。
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