ツタヤさん

ミッシングのツタヤさんのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.2
超大作。
引き算に引き算を重ね、洗練されたキービジュアルに反して密度が濃く重厚すぎる内容。
BGMもほとんどなく、派手な仕掛けがあるわけでもないのに全てのセリフ•演出がクリティカルに刺さってしまった。
僕が邦画に求めているものが詰まっている。

前半というか8割ぐらいの時間は洋画では描けない、日本の令和6年現在の人の醜悪さ。肌にまとわりつくようなストレス。人怖とか幽霊とかそんなポップなものではなく、本当の恐さ、怖さ、そして嫌さ。
最悪すぎて途中笑ってしまいそうになるけど、それを不快感が抑え込んでくる。
確かに吉田監督の作風だけど、もう一個二個ギアが入った感じ。

そして、そんなマイナス沼に1ティースプーン垂らされる性善説。
だけど、これがとてつもなく尊くて、全てを洗い流して晴れやかな気持ちにまでしてくれる。ズルすぎる。
ラストカットに息を呑む、涙が自然と流れた。

とにかく出演者も制作も全員が、本気で想いを乗せて作ったことが伝わる作品でした。覚悟して目を逸らさず受け取りたい映画です。

余談ですが、パンフレット見たことないぐらい分厚いです。劇場でみたひと絶対買った方がいい。
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