おばけの酸味

ミッシングのおばけの酸味のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
5.0
百人観たら百人の感想が『石原さとみがヤバい』に纏まってしまいそうな映画。想像していた面白さの何倍もエグい見応え。吉田恵輔監督作品を劇場で観るのって、わかってたけどこんなに恐ろしいんだ。


ずっと胃が収縮するような内容かと思えば、幾度となく挟まれるつい笑ってしまう画ややり取りも多かった印象。
シリアスな作品に少しでもコメディ要素が入り組むとノイズになるのでは?と思いそうですが、この映画では寧ろその部分が 日常 の説得力を高めている。
勿論、笑える時はあるけれど、すぐに辛いことがそれを追い越してやって来る。あの日から彼女たちの毎日はずっとこうなんだ。そう気付かされてしまいました。


青木崇高さんの底なしに優しい声色に、それだけで泣かされてしまいました。言いたいことを飲み込む唇の震えや涙も、全部魅力が詰まっていました。
この夫婦は変わってしまった日常の中で、どうしてまだ優しく生きていられるんだろうか(優しい、という表現はトゲを感じてしまいあまり好みではないのですが今回は使わざるを得ませんでした)。涙が止まらない。

ただ、青木崇高さんを筆頭に俳優さんたち全員が魅力的だったのに、思い出すシーンの全てに石原さとみさんが強く焼き付けられて残っています。それくらいに化け物演技でした。

この撮影が終わってから、石原さとみさんがまださおりだったらどうしよう……と心配になってしまうほど、のめり込んだお芝居をされているのが素人目にもわかる物凄い演技だったと思います。
映画を観た全員がそうだと思いますが、警察から電話がかかってきてからの一連のシーンは本当に目も当てられないくらいに怖くて、映画館から逃げ出したくなるくらい特に恐ろしい鬼気迫る演技でした。
石原さとみさんの声が、わたしはここ最近で一番のトラウマとなって脳裏にこびり付いて離れてくれません。

余談ですが、今日からしばらく失禁系のシーンはどんな媒体であろうとみられそうにありません。


『神は見返りを求める』『空白』でも表現されていましたが、デリカシーのない人間の描写が繊細過ぎて心の底から不愉快で最高でした……。
刺さる人にはとにかく刺さりまくる不愉快さ、自分の想いが上手く伝わらずに笑われてしまう場の居心地の悪さ、それは今回も本当に素晴らしかったです。


予告映像の期待を何重も越してくる本当に最高の映画!映画館で観られて良かったです!
どれだけ書いても感想を書き切れないです。

鑑賞中は一人になりたくなるけど、鑑賞後は誰かと一緒にいたくなると思うので、予定を入れてから観にいくのをおすすめします!✨🤝(•ө•)
おばけの酸味

おばけの酸味