かー

ミッシングのかーのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.5
最初の方で「弟があやしい」という話のあとに挟み込まれるコンクリートの画が、あからさますぎると思いつつやはり疑って観てしまう。
行方不明になった子どもが見つかるor犯人が解明されるという終わりを常に予測しながら、「見つかってくれ…!」と「でも見つかったらただの犯人捜し映画だし犯人わかりやすすぎるな」という気持ちのせめぎあいで最後まで観ました。センシティブなニュースは、関係のない人たちはある種エンタメ的に見てしまっている節があるなと自分自身に気づかないふりをながら気づいていた。そのことに正面から目を向けさせられる作品だった。

犯人探しや、家族の見えざる闇などではなく、ただただ子どもが行方不明になった家族の様々な感情が描かれていて、でもどの感情も根底には「寂しさ」=「愛情」があるからだということがひしひしと伝わってきた。
テレビやネットなどで切り取られたニュースを浴びるように日々見ていてそこからは逃れることが難しいけれど、根底にある関係者の感情を想像してみようと思った。「切り取られたものだということをわかりましょうね」「限られた情報だけで判断すると見えていないものがありますよ」という映画はたくさん観てきたが、見えている感情のその元の元はなんなのか、という思考になる映画だった。

ラジオから流れる曲はちょっとベタだなと思いつつ、ガラス越しになにか怨念をぶつけているカット×2が見たことない表現ですごくよかった。

細川岳、カトウシンスケなど今の日本映画で光る存在が脇を固めていたのがよかった。石原さとみは自分から監督に打診したという情報が出回っているのでかなりの覚悟で挑んだのだろうという前提で観て、その覚悟が伝わってくる演技ではあった。ただ、感動したし泣いたのに手放しにすごくよかったと言えないのはなんでなんだろうな…そういう映画じゃないのはわかりつつやっぱり何かしらの結果を提示してほしかったのかな…といいつつぐるぐる考えて40分歩いて帰りました。もっと言語化できるようになったら追記したいと思います…
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