監督の映画で好きなところは人を一面的に描かないところ。
分かりやすく白黒はっきりさせて観客を気持ち良くさせることを忌み嫌うかのようにそれを許さない。
紗織里が車を追いかけて謝るシーンや圭吾と姉の紗織里との車の中でのシーン。
人がどんな気持ちを抱えてその言葉を発したのか、ドキュメンタリー映画を見ているよう。映像からその人への、その人の人生への敬意みたいなものさえ感じさせる。
紗織里がさくらの母にその言葉を掛けたこと。紗織里が娘を探し続けた地獄の時間から得た境地で、それは人から評価されたり賞賛されるようなものではないのかもしれないけどとても尊いものだと思った。
人生は退っ引きならないし、世の中が生きづらいからこそ、抗う人の姿を見て嘲笑う人は増えていくのかもしれないけど、嘲笑う人ではなく、抗う人として生きていきたいと思った。
