このレビューはネタバレを含みます
(あらすじはカット。作品のさわりと感想)
家事と育児の毎日。そんな自分にご褒美とばかり、姉弟に娘の子守りを頼んで、大好きなアイドルのLIVEへ出かけた沙織里。
久々のLIVEで弾けて楽しんでいたその頃、沙織里の弟の家から帰宅するはずの娘が帰らず、家族は娘の行方を捜索し騒ぎになっていた。
家族から何度もかかってきていた電話やLINEにも気付かず、LIVEを満喫していた沙織里…。
その日から、悲しみと怒り、そして後悔してもしきれない思いに苛まれていく。
とても辛い作品でした。
この作品のモデルになったであろうあの事件を思い出しました。
ある日突然こんな事が家族に起こってしまったら…
幸い身内が失踪してしまったり、危険な出来事を経験した事は無かったのですが、石原さとみを始め出演者の演技にのまれ、リアリティーある演出が、未体験の苦しみを感じ取れた作品でした。
“悲しみの渦中にいる家族は藁をも掴む思いで、どんな事でも、どんな手段をとってでも、我が子が自分たちの元に戻ってくれるなら、何でもする。こうして探している間にも娘の身上に最悪な事態が起きてしまっているのではないか…不安と緊張の連続で休まることの無い日々を過ごしている。”
その心情が深く描かれていて、終始胸が苦しいかったです。
この作品がどうしてここまで苦しい思いにさせたのか…
それは、必死に娘を探している夫婦に対して、どこぞの誰かが嘘の情報を彼らに伝えたり、それだけではなく彼らやその家族のプライべートな部分をほじくり返し、面白がって誹謗中傷を無名でSNSに載せてる輩の存在に怒りを感じたのと、そんな心無い奴らに翻弄され、心が崩れていく母親の姿がほんとに痛々しく、惨めに感じたせいでしょうか。
それと同時に、私もこうしてSNSを利用して楽しんでる1人じゃん…それを思ったら、少し怖くなります。
知らず知らず自分も誹謗中傷する側になってやしないかと…。
「言葉」も1文字間違えただけで、全然違った印象に感じたりもするし、ほんとに気をつけて使わなければいけない。そう感じずにはいられなかった。…いやでも無記名で無責任な誹謗中傷は卑怯なやり方だと思うので、絶対やってはいけないことですね。
演者さんたちの演技がとてもリアルで、特に石原さとみの迫真に迫る演技は素晴らしかったと思います。
未解決のままのラストになんとも言えない気持ちになりました。