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ミッシングのevergla00のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.5
ある日沼津市で、森下美羽ちゃん(6才)が行方不明になった。

進展のない捜索に憔悴して、事ある如く周囲に当たり散らし、場所を選ばず慟哭し、激昂したかと思えば一転して協力を哀願する。激しい自責の念に駆られ、娘のために何かせずにはいられない。極めて情緒不安定な母親(沙織里)を見事に演じられていました。彼女が錯乱状態に近いため、父親(豊)や沙織里の弟(圭吾)の態度が随分冷静に映ります。
幸いにして当事者の経験がないためか、私には沙織里の態度が流石に酷すぎると感じた瞬間がありました。しかし、豊や圭吾の泣くタイミングなどを通して、悲劇の受け止め方・悲しみ方は、性格同様に千差万別であることが、本作でよく理解できました。大袈裟というものではなく、現実と錯覚させるほどの熱演が、近所で起きた事件を傍で見ているような気分にさせました。

確認したら間違いだったという情報提供なら勿論仕方ないですが、劇中のような残酷な悪戯は、考えもつかないので非常に驚きました。実際起きていることなのでしょうが、厳罰の対象とすべきです。沙織里が崩壊する姿に涙を堪えました。

人の不幸は蜜の味?スキャンダラスであればあるほどよく売れる。視聴者目線とは、興味を引くために面白おかしく味付けすることなのか?刺激的な切り口で視聴率を取れば評価されるテレビ業界で、報道の余波を懸念するのは砂田だけのようでした。

報道番組がダメならどうするか。ポスターは資金だけでなく、広めるのに相当な時間と労力を要します。AMBER alertのような、テレビラジオCMや全国紙、電光掲示板に捜索願いを出せる効率的なシステムがあれば、ネットを多用しない世代にも知らせることができそうです。
Soul Asylumは ”Runaway Train” のMVに、行方不明者の写真と実名を載せました。私なら、BLANKに事情を話してPVに載せてもらうよう沙織里に勧めます。


『空白』にゆるく繋がっている作品とのこと。

見つかっても見つからなくても、美羽ちゃんが存在した「事実」は消えない。
良いエンディングだと思いました。
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