ゆう

ミッシングのゆうのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.5
"missing"
あるべきものがない状態。欠落。行方不明者。
意図せずなくなってしまうというニュアンスを含む。

娘の喪失。
日常の欠落、心の欠落。
夫婦の悲痛の叫びが痛々しい。
彼らは寄り添われるべきなのに、あろうことか無慈悲にも叩かれる、辛辣な言葉を浴びせられる。

異常事態である。

SNS上での誹謗中傷、正義の名を借りた弱い者いじめは、我々を取り巻く現代社会の病理である。
しかし、あきらめにも似た感覚を抱いているのもまた事実である。
私自身、欠落している。

ヤクルト1000がないと店員にキレる客、
歩きスマホでもめる通行人、
警察で大声を張り上げる住民、
皆どこか異常だけれど、そんな人もいるよねという感覚もある。
欠落である。

最終的に物語は解決を見ない。
それでも彼らは生きていかなければならない。
ラストシーン、わずかであるが、沙織里は心を取り戻し始める。将来への希望である。
我々も心を取り戻せるか、問われているように感じた。
ゆう

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