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ミッシングのsaskiaのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.5
娘が失踪してしまった夫婦と彼らを取り巻く人達のお話。

母親の沙織里を演じた石原さとみが真に迫る演技で素晴らしかった。
情緒不安定で、娘のことになるとどこかに押し込んでいた気持ちが溢れて、突然泣き出したり、暴言を吐いたり、正気をなくす母親の演技がリアルで、痛々しくて見ていられなかった。

父親の豊を演じた青木崇高は自分は妻を支えなくてはという思いでいるから、いつも冷静で沙織里を励ましたり窘めたり寄り添ってくれていて、私の夫もこんな感じだろうなと想像してしまった。

でも本当に私もこんなふうになってしまうだろうな。行方不明になったことが分かってからは1秒でも平静でいられないよ。失踪して3ヶ月も経ってこれからも見通しが立たずに探し続けなければいけないなんて…地獄すぎる。耐えられない。

沙織里はこんなに辛い立場なのに、娘の失踪時、ライブに行ったことを育児放棄と言われネットで誹謗中傷される。
そして自分を責め続ける。あの時行かなければ、一緒にいればこんなことにはならなかった。悔やみ続ける。
世間がそうさせるのだ。

この作品はマスコミの嫌な部分も描かれている。視聴率を上げる為に、証拠もなしに沙織里の弟が犯人かのように煽る取材をするマスコミ。他に頼る人がいない沙織里はなんとかして娘を探したい一心で、マスコミに頼まれたことはなんでもやる。それが見ててすごく辛かった。

砂田役の中村倫也の死んだ目が良かった。
やりたくないことをやらされて、でも上司に言われてやらざるを得ない彼には同情を禁じ得ない。

たまに映るクレーマーとかケンカしてる人達がリアルで心がざわざわした。



人の悪意をいつも見せてくれる吉田恵輔監督に外れなし。
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2024/𝒩𝑜332◡̈✧🌛☽・:*
おうち映画𝒩𝑜332🐑-✮‏៹·*
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