社会のダストダス

きっと、それは愛じゃないの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)
3.5
リリー・ジェームズが幼馴染で初キスの相手で、そのあと何もなかったというのは、ある意味ミラクルではないのか。

口当たりの良いロマコメかと思えば意外と真面目というか、テンポ感も結構もっさりで思っていたものとは少し違ったけど作品としての満足度は高め。リリー・ジェームズ(シンデレラ)がディズニープリンセスコメンテーターをする映画と書けば、一気に香ばしさが倍増しそうではある。

ドキュメンタリー監督のゾーイは、幼馴染のカズがお見合い結婚をすると聞いて仰天。このご時世に親が選んだ相手と愛のない結婚だと?興味を持ったゾーイは新作の企画が暗すぎて却下されていたこともあり、カズの結婚までの軌跡を追ったドキュメンタリー作品を制作することにする。

リリー・ジェームズが主演だからか、プリンセスネタがちょっとくどめだったが、それぞれさり気なく本作の内容に当てはめているのもポイント。そういえば、ドキュメンタリー作品のプローデューサー達は「多様性が—」とか「白人女性監督だと―」とか言っているので、どことなく某マウスオブハウスを想起させる。

前半に撮ってたドキュメンタリーを上映する部分があるけど、そこのエピソードが淡白というか、完成した作品をじっくり観るパートだと思っていたが、あっさりしすぎていて少し肩透かし。感情的にはクライマックスにくる部分だと思っていたので、もう少し見せて欲しかった。序盤に少しだけ話に出てきた人が登場して「誰だっけ?」って、なってしまうところもあった。

異文化間で恋愛結婚した人たちのその後が描かれるのに対して、本作のメインのはずのお見合い結婚のほうは「やっぱりお見合いなんてあまり良くないなー」で片付いてしまいそうなまとめ方にも見える。でも、イギリスの離婚率50%以上のうち、お見合い婚の離婚率はわずか6%というデータが劇中で出てくるけど、日本よりも人種や文化的に多様な国でそんな歴然の差があるのはちょっとビックリ。

どっちかといえばお見合いよりも西洋とムスリム文化の違いの映画か。