叡福寺清子

きっと、それは愛じゃないの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)
3.5
クリスマスイブイブにスキンヘッドのおさーんがゴリゴリのラブストーリーを一人で視聴なんてなかなかにできる経験じゃございませんことよ.こんばんわ三遊亭呼延灼です.と思ったら,そこまでゴリゴリでもございませんでした.そりゃねぇ,2023年に惚れた腫れたのワンテーマで勝負できるほどに映画界隈も甘くはございません.
本作でいえば,味変としてモスリムの結婚制度.即ちお見合いだったり親が決めた相手,結婚式直前に顔を合わせる相手との結婚が採用されております.お互いだいちゅきという期間がない,即ち結婚生活が引き算にならないから離婚率が低いという理屈もわからなくはございませんが,それは単に嫁側が耐え忍んでいるだけでは,と思った次第.でも昨今はそんなこともないようですね,と学習できたのも本作も収穫の一つ.
収穫といえばあと二つございまして,一つは白人が被る逆差別の可視化.ポリコレが映画界に与えたダメージは計り知れませんが,何を撮るかではなく誰が撮ったかを優先させるようになったのも,その一つでございましょう.
差別と言えば,『47番地と49番地は別の大陸だ』という台詞.白人家族のゾーイさんとパキスタンからに移民二世であるカズさんは隣家同士.つまり幼馴染ってヤツでして,しかもカズさんは腫瘍科医という社会的成功者.そんなカズさんであっても,ムスリムが差別の対象であることを日常的に意識せざるを得ません.そしてその事をゾーイさんは指摘されるまで気づきませんでした.うーん,20年代風・・・もっとも,繰り返しになりますが,ゾーイさんだって白人であることが不利益になることがあって,今の社会情勢って結局誰が得するのですか?クリプトン人?

そしてあと一つの収穫がリリージェームズさん.きゃわわが爆発しておりましたが,親友の子供に聴かせるシンデレラをはじめとした童話が辛辣だったのは,本人的にはどうだったんでしょうな.