アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の同タイトル映画のリメイク版。
前半たっぷりかけて主要人物たちを描き、後半で彼らが報酬と引き換えに少しの衝撃で爆発するニトロをトラックで運ぶ様を描く…というプロットはオリジナル版と全く同じなんだけど、あちらの舞台が乾いた砂漠のような地だったのに対して、こちらはジャングルのような湿地帯が舞台となっていて、それだけで印象がかなり違う。何より、極限状態におかれて本性を剥き出しにする人間を描いていたオリジナルと対照的に、登場人物が仕事をする様を冷徹にニヒルに描くのみで、そこは『フレンチコネクション』『エクソシスト』で同じく冷徹に人間を描いていたフリードキン監督らしさが出ている。中でも、いよいよ出発となり、自分たちの乗るトラックを黙々とチューンナップする一連の流れのシブさにはシビれるし、その後、準備万端になったトラックがモヤの中からヌボーッ…と現れるシーンは『エクソシスト』で追い詰められたパズズが姿を表す瞬間のようなおどろおどろしい凄みがあった。
基本プロットは守りつつ、監督なりの"色"もしっかりと入れ込んでまた違ったテイストに仕上げた理想的なリメイクの一つだと思う。
(2016.135)