GyG

私がやりましたのGyGのレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
4.0
しょっぱな、ガールズトークがあります。

しかし中身はコイバナといったものではなく、家賃督促とかの世知辛いハナシなんですが、それを余り深刻でないレベルのニヒリズム・機智を交えて話すものだから、一気にシャレオツコメディー感いっぱいのウェルカム状態に突入しました。

ポーリーヌを”ポーリーニャ”と呼びかけるところはいいですね。これでバディの基軸がハッキリしました。明瞭明解です。
しかし警部が現れたあたりから一セリフごとに話が膨らんでいき、果たして辻褄合わせどうする?的な意識が見え隠れしだします。
特に後半は登場人物も増え、話があっちに行ったりこっちに来たりして、見る側は翻弄されっぱなしになります。
しかしこの翻弄も最初に叩き込まれたバディ感によって、たちまち愉快感に変化するのです。
このあたりの本作がもつスピード感や引力は圧倒的ですね。

視点を変えます。
本作シノプシスを経済学風に言うと、あることをきっかけに手形が出された、しかしカラ手形だった、それをポーリーヌの手さばきで裁判長などの権威がいとも簡単に裏書きしていき、あっという有価証券化された。こんな感じでしょうか。

数学風に言うと、
①ウソのウソはウソか 、はたまた真実に還元されるのかという命題の解析映画
②虚数はある階次乗算すると正数に実数化されるが、実数と虚数で構成された数はそう簡単ではない、如何に演算すれば実数部のみになるのかについての実験映画

余談です。
ラストで演じられる劇中劇の内容と、エンドロールで流れる新聞見出し群の一つ「新事実発見」を重ね合わすと、次回作もありかな?的期待が沸きました。
観客に直接謎かけするサービスなんでしょうが、なかなかお茶目な監督さんだと思いました。

さらに余談です。
もし、次作が出るとすると、あのプロデューサー実は自殺だったとか、あるいは自殺を暗示するエピソードが入る気がします。

結論
以上、ウソもマコトも含め、最後の最後まで楽しめる映画でした。
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