ジジイ

私がやりましたのジジイのレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
4.0
フランス動員100万人超えのクライムコメディ。面白かった。よく練られた脚本が見事。監督はもともと文学界が舞台であった原作の戯曲を映画界に改編し、MeToo運動をきっかけにこの物語を書き上げたという。その際戯曲にはなかったシスターフッドが盛り込まれている。主役二人の女優の絶妙なバランスの間にユペールが割り込んでかき回す感じも楽しい。ダニーブーンなどベテラン俳優たちの中に若手俳優を放り込んで生まれる化学反応を、監督は本作でも大いに楽しんでいるようだ。歴史的、今日的なテーマも含んではいるが、難しく考えないでコメディの舞台を楽しむように気楽に観ればいいと思う。





以下ネタバレです。





原作どおりなのかもしれないが、何気に合理的なお金の流れがすごい。プロデューサーから屋敷を購入した建築家が彼の死により支払いを免れ、そのお返しにタイヤ会社に投資することで女優を助ける。タイヤ会社の社長は女優の告白を聞き建築家には内緒で(つまり投資が担保された上で)ユペールへの小切手を切り、真実は世間に明かされない。女優と御曹司はめでたく結婚を許され、工場は苦境を乗り越える。つまり全方位にハッピーエンドなのである。ラストの、映像からいつの間にか舞台に繋がるシーンは(どこかで観た気もするが)秀逸である。何発も銃弾を打ち込むマドレーヌには笑ってしまった。

追記 冒頭でマドレーヌがぶつかった相手はユペールなのだろう。とすればやはり犯人はユペールでいいのではないか。
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