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HIDARIのKOKIのレビュー・感想・評価

HIDARI(2023年製作の映画)
4.0
 昔からYouTubeでレゴブロックのストップモーションを見るのが好きだったので、この『HIDARI』には感動するポイントが沢山あった。正にストップモーションの概念を覆す表現方法の数々に鳥肌が立った。血しぶきを木くずで表現しているところが新鮮だった。雨の雫が映像上で見やすいように黒い雨を使った黒澤明監督や、砂を雨に見立てた『ガメラ3 邪神覚醒』の樋口真司監督を彷彿とさせる。考え方一つで、違う要素が全くの別物に見える。その発想の逆転がすごい。
 また劇中のカメラワークは、身体の動きに同化しているため、鑑賞者側は自分も動いた気になれる。そういう撮影面における技術的なところが本当に凝っているため感動した。この数分のために、どれだけのスタッフの労力と拘りが結集されたのか、考えるだけでゾクゾクしてしまう。
 内容面においてはプロット段階のため、アクションの動機は薄い。しかし長編でその全貌が明らかになるのだろう。ただこのようにアクション要素に作品を全振りするのであれば、長編である必要性をあまり感じない。むしろ短編の方が場面を持たせられるのかもしれないし、身体表現としてのアクションも機能するのだろう。
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