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PS2 大いなる船出のくりふのレビュー・感想・評価

PS2 大いなる船出(2023年製作の映画)
3.5
【扱いづらい巨象】

日本に帰ってきた。久しぶりの劇場行きは、気になっていた本作から。

前編同様の味わいだった。特別とは思えない、何なら凡庸な映画なのに、フシギと退屈さがなく惹かれてゆく。物語としては、方向が絞られて来るので前より、わかり易かった。

前編と同じく、“バーフバリへのタミルの回答”と受け取ると、まず一次的には、捉えやすい。

CGやVFXに頼らず、人間頼りであるのが変わらぬパワーで、ベテラン監督らしいかと。人物の魅力を前面に立て、映像のテンションで繋いでゆくから、物語が二の次でも魅せられてしまう。

ただ今回は、女性キャラが後退しちゃったね。ヒロインが段々引っ込むのはインド映画あるあるだし、10世紀が舞台、原作が書かれたのが50年代…という成り立ちからは、仕方なくもあるけれど。

アイシュさんの活躍に期待したが、顔力ばかり発揮して終わっちゃった。美熟女の鑑ではあったけれど。

“象使い”のアイデアは面白かった。あれをちょこっと出すなら、インドという国は扱いづらい巨象だ!…ともっと言い切ってしまえば、映画としてより、太い背骨が通ったような気がする。

戦争映画でありながら、ああいう厭戦感を刻んできたのは、バーフバリより鮮度がある。復讐譚としても、虚しさを立てたのはよかったね。難しいとはわかりつつ、歩み寄ろうとしている映画だった。

タミル地方においては黄金時代だった…的な歴史の捉え方も、現地ではあるのかな?ならもっと、ロマンを語ってもよかったと思うけど。あの後、英国に蹂躙される時代が否応でも、待っているわけだしね。

時計がようやく気になったのは、七割方過ぎた辺りだろうか?もっと整理や強調ができたのでは?とも思うけれど、ベテラン監督の手綱さばきを劇場で味わえて、やっぱり、よかったですよ。

<2024.7.3記>
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