たむ

首のたむのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

7年ぶりの北野武監督最新作です。
構想30年、戦国時代劇大作ですが、同じ時代を描いた今年の『レジェンドアンドバタフライ』とは全く違うアプローチです。
北野映画の醍醐味であるスペクタクル、つまり色と暴力がふんだんに盛り込まれており、美談なき歴史ものに仕上がっています。
当然史実には基づくのでしょうが、本作の組織論的なアプローチは、権力者の色恋沙汰をメインにしています。
侍の男色は『御法度』への返礼でもあるのかもしれません。
色恋沙汰になると人間はやることに容赦がない。
それは暴力的に表現されており、そこに立ち上がってくる秀吉という存在が、侍と百姓の葛藤となって提示されてきます。
欲望の目指す先が違い、色恋沙汰と金の葛藤でもあります。
私は、北野映画の醍醐味はもう一つラストシーンの見事さにあると思うのですが、本作のラストシーンも最高でした。
首や名誉という加飾された世界観を持つ侍と、現実的に結果を求める百姓の時代の移り変わり。
それが今も続いていること。
一つの時代の転換点としての本能寺の変は、百姓の侍への勝利でもあったのではないか。
そんな事も考えました。
様々なトラブルにも見舞われたようですが、無事公開、しかも北野映画初のIMAXで鑑賞できてよかったです。
たむ

たむ