大小あらゆる合戦が横行する戦国時代ならではの殺伐とした世界観と、男色・衆道が当たり前という武家社会を額面通りに描き、全年齢を狙う大手やテレビでは決して描けない、しかしある意味、実情に近いといえる当時の側面を映像化した点はスゴイ。
忍者のみならず魑魅魍魎も自然に溶け込む世界は史実というよりは和風エログロナンセンス。本能寺の描き方も前代未聞。岩代太郎による劇伴の奏も秀逸….とかツラツラレビューするのは適さないエンタメ全振りの一作。
キム兄は狂言回しとして、劇団ひとりはモブ代表として、寺島進は大部屋的なポジションでお約束をキッチリ演じきった。
とは言いながら、海外の視点から見ると、「史実の裏付けがともなう多様性」「日本独自のファンタジー(狐憑き現象)」「能舞台」「合戦」「忍者」などあらゆるジャパニーズカルチャーが渾然一体となっていることから今後の日本文化論を論じるうえでの定番にもなりうる。
