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首のmitoのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.9
2023年138本目。
北野武監督、本能寺の変に帰結する織田信長の家督を巡る武将達の争いと、現代と全く異なる戦国時代の命や「首」の価値観を描く。

前評判を聞いて少し不安だった。
例えば、「テンポが悪い、晩節の監督のっぽい演出のぶった切り感や下手さ」を酷評する感想や、「戦国版アウトレイジだ、これ」という感想。

個人的には、その前評判とは異なると感じたし、結構楽しめたので良かった。

織田信長を演じるのは、アウトレイジ同様、北野作品だけでしか拝めないクレイジー演技を見せる加瀬亮さん。
そんな織田亮さんの行き過ぎたパワハラに耐える武将達がそれぞれ誰かに「打倒織田」を成させようとするか、牽制し合うパワーゲーム映画。

当時の常識に擬えて、サラッと命の軽さや残酷な行いをそも当然にしでかす登場人物の様はノースマンと同様。
この作品の場合は、それが残酷と同時に滑稽映ることが多いのが特徴かと。

滑稽という点では、少しコント調のやり取りが多い豊臣勢は好き嫌いが分かれそうだが、個人的には一番命を軽んずる空気が作れていて、結構好きだった。
(ただ、このコメディ路線がアウトレイジに寄ってる感はある)

そんなコメディ路線より、リアリティラインを著しく逸脱する甲賀での出来事の方が違和感あった。

個人的には昨今の北野作品の中では大分楽しめる作品だった。
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