「戦国BLバカ殿」。アウトレイジやソナチネのような重厚感を期待していたら、ギャグに振り切った映画で驚いた。
『アマデウス』のモーツァルトのように、織田信長を誇張してかなりの狂人として描いている。「男色」は実話だと聞いたけど、バイオレンスコメディとしてもかなりナンセンス度が高い。賛が多いように見受けられるけど、自分はかなり置いて行かれた。
年齢設定からして「コント」が過ぎるように思うし、近年のビートたけしをバラエティで見るときに「外してるな」と思う感覚と近いものを、今作でも感じてしまった(あのお年でどこまで制作に関わっているのか知りたい)。昭和的なホモソのノリを俯瞰できているように自分には思えなかった。
争い殺しあう虚しさには共感できた(競争社会すらもそういうもの)し、「首なんてどうでもいい」「みんなアホだ」とかいいセリフだなと思うけど、正直笑えたシーンはあんまりなかった。期待した映画と違いすぎて驚いてしまったのもあるけど、スコセッシのような時代に適応した作家性の進化とか、タランティーノのような歴史への真摯さもあまり感じられず。。自分が勉強不足なところも大いにあるけれど。
「美化されがちな時代劇へのアンチテーゼ」としてはいいなと思うし、戦わない人たち(芸人や利休)がカッコよく見えるのも素敵なメッセージだと思う。暴力や権力を無効化する武器はそこにある。
ショットがどれもかっこいい、船上の切腹とか特に印象的。死に方のバリエーションよくあれだけ作れるな。。劇団ひとりや柴田理恵の無駄遣いも良かった。