茶人、芸人、忍者、農民らを巻き込みながら、天下人を目指す武将たちの思惑と愛憎が絡み合う熾烈な権力争いに引き込まれる。不意に訪れる凄惨なバイオレンスシーンは北野監督ならではの味わいで、豪華な衣装やセットとともに、合戦シーンも大作らしい迫力で見応えがあった。
武士の男色気質や忠義じみたもの、腹黒い感じはこれこそ本能寺というものだと思った。変に美化されず、人間らしさと男らしさを全開にしていたところに好感が持てる。
武家社会の在り方に、特に「侍の惚れた腫れた」にうんざりしている農民上がりの秀吉は、お笑い界出身で映画を作っている監督と重なって見える。皮肉たっぷりの痛快なラストショットには特にそれを感じた。
