ワンコ

パトリシア・ハイスミスに恋してのワンコのレビュー・感想・評価

3.8
【不安】

最近観た先行上映の「PERFECT DAYS」の中で、主人公が古書店の女店主に話しかけられる場面がある。

パトリシア・ハイスミスの本を手に取ったところ、「パトリシア・ハイスミスは不安と恐怖を別のものとして描いた」と女店主が言うのだ。

パトリシア・ハイスミスの作品には一貫して、不安や恐怖が描かれていたと思うが、彼女は「ミステリーを描いてるつもりはない。しかし、犯罪や殺人が含まれるとミステリーとして扱われる」と言っているところが印象的だった。

確かに、これは世の中のステレオタイプな悪いところだと思う。

そんなステレオタイプなところに、性的にも作家としても彼女は抗い続けなくてはならなかったのだ。

「太陽がいっぱい」は映画としてもよく知られた作品だが、僕は「PERFECT DAYS」のヴィム・ヴェンダースが同様に監督した「アメリカの友人」が好きで、不合理な展開や不安感は、クライムという点を除けば、滑稽な感じを受けてもテーマとして中心に存在しているなんて感じたりする。

「キャロル」は後に彼女の作品として再販されたことは知っているが、読んだことはないので、いつかチャレンジしてみたい。
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