著作した小説のほとんどが映画化されたサスペンス・ミステリー作家パトリシア・ハイスミス。
処女作『見知らぬ乗客』を巨匠ヒッチコックにより早々に映画化されたことにより、本人はミステリーとは思っていなかったのにミステリー作家の名が付いたのだと。
『太陽がいっぱい』『アメリカの友人』『リプリー』...トム・リプリー主役の作品は何作も制作された。
そして『キャロル』はなんと自伝的小説であり、ルーニー・マーラが演じた役は自身であり、ケイト・ブランシェット演じた美しい人妻との大恋愛は本物だった。
実の母親との確執。娘は母親を慕うのは当然なのに、冷血で傲慢で意地悪な母親から愛情を向けられたことがなく、とうとう絶縁していた。
本作はハイスミスの生涯を生誕100年を経て発表された秘密の日記、ノートを披露していて、本人映像、インタビュー、元恋人たち(女性)、親戚によるインタビュー等で構成されている。
印象に残ったのは...
男性と性交した時の不快感は"タワシで顔を触れているよう"だと。
ニューヨークの同性愛者の集う盛り場の雰囲気。スリーピースを身に付けている女性はレズの大先輩方と決まっていた。
ハイスミスの惚れっぽく、傷つき易く、愛を渇望し続けた素顔を知ることが出来た。
ただ、ナレーション(グウェンドリン・クリスティー)が非常に淡々としていて単調のため、時々ふっと睡魔が襲って来るのが危険だった。