あおは

キリエのうたのあおはのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
3.9
鑑賞前は3時間長いなと思っていたけれど、まったく苦にならず、おもしろかった。

映像のなかにおける色と陰の使い方が印象的だった。夜の街の映し方がとてもキレイで、夜や暗いシーンでは青や紫の光が映されて、そこからもキリエの絶望や苦しみを感じた。でも、そういう重苦しさに芸術的な趣も感じた。

アイナ・ジ・エンドのファンからしたら、米津玄師やあいみょん、優里など有名な歌手の歌をアイナ・ジ・エンドが歌うから、たまらない1作なのではないかと思った。
また、アイナ・ジ・エンドの演技と色気には驚いた。他の作品もあったら、是非観たい。

地震のシーンはとても怖かった。

今作は人の思いが届かないところを描いた作品だと思った。
それは容赦なく人を従える法律と、容赦なく人命を奪っていく大自然。
守りたかったのに守れなかった。その思いが届かなかった苦しみが描かれていた。
その内に秘めた届かなかった苦しみを歌にしたのがキリエで、苦しみを無視するのではなく歌うという形であることは彼女にとっての希望だと思った。
人はお互いを思うことで繋がるが、思いは形のないものだから儚い。

最後のほうでキリエとなつひこくんが再会し、なつひこくんが守りたかったのに守れなかった後悔で涙を流したあとからのシーンは、その苦しみを全面に出したことで、夜が明けたような希望を感じられる映像になっていた。

すごくおもしろかった。
あおは

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