【繋ぎ、紡ぐ】
ずっと観ていられる作品のような気がする。
帰りに立ち寄ったセブンイレブンで立ち読みした「サンデー毎日」に、アイナ・ジ・エンドさんのインタビュー記事が載っていて、そこには、彼女はもう既に10回この映画を観ていて、飽きないし、皆んなに帰りがけに毎日でも観てほしいと話していた。
「キリエのうた」には、僕が、どこかに置いてきたものやこと、僕がどこかで、いつだったか、忘れてきたものやことが、たくさん詰まっているような気がとてもした。
決して、そうしたくてそうしたわけではない。敢えてそうしたわけでもないのだ。
でも、そのなかには大切なものやことが、本当はいっぱいあった気がする。
アイナ・ジ・エンドが歌う懐かしい歌も含めて、彼女の類稀な歌声がそんなふうに思わせたのかもしれない。
そして……、
僕たちの社会の忘れかけてしまっている、ちょっとした人の心みたいなものも、この「キリエのうた」にはたくさん詰まっていた。
忘れちゃいけないもの。
この映画を観て、過去の記憶を辿る人は多いかもしれない。
でも、本当は未来に想いを馳せる作品じゃないかと思う。
未来を祈る作品じゃないかと思う。
過去と現在、複数の場所、そして人と人とを、点と点を繋ぐように、そしてその繋がった糸を紡ぐように展開される物語の感じが大好きだった。
大好きな作品。