のほほん

キリエのうたののほほんのネタバレレビュー・内容・結末

キリエのうた(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

最後にキリエが食べているシーンで終わったのが唯一の救いだった。食べるとは生きるということだから。キリエはまたイッコを待ち続けるのだろうと切なくなっても、キリエは前に進んでいるということでしょう。
その一方で、これまで観てきた岩井俊二監督作品も含み、人が成長していくということは、他者を犠牲にして、喰って、取り込んでしまうということなのだろうかと考えずにはいられない。
情緒的な意味が軽視される資本主義のこの国では生きていくことがあまりに苦しい人達がいる。
私は『バッファロー'66』に対しても同じように思うのだけど、岩井俊二監督作品の女性の描き方の気持ち悪さは、女性を勝手に女神に仕立て上げるという点にあると思う。だけど、両者共に、勝手に女神に仕立て上げて終わりではなくて、その醜さや残酷さに自覚的で、それによってまた自身も苦しんでいるという点がミソだと思う。人間としての正しいあり方を描く作品も、弱さゆえの間違いを描く作品も、両方あっていいと私は思う。
のほほん

のほほん