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キリエのうたの40payのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
3.6
800本目は敬愛する岩井俊二作品!

自身の故郷「仙台市」を題材に選んでいるだけあって
監督自身の半生や作品歴を強く表した作品でした!
(最近、巨匠の半生記多いな…)

序盤、大阪/新宿/北海道と物語の舞台となる各地方の様子が映し出されるが
やはり岩井作品は、各ロケ地の撮り方が非常に良い!
地方の街並みでありながら、どこか魅力を醸し出す画作りは一級品!
(と言うか、作品全体の画面構成が相変わらずスタイリッシュ!)

前半は、お馴染みのオシャレな画作りと
浮遊的なストーリーで引っ張っられるが、流石に長い…かな!
後半は「不思議の国のアリス」や「牡丹燈籠」など神話や御伽噺、怪談など
ファンタジーな世界観のジャンルを縦横無尽に行き来し、
インディーズ的な荒い構成でちょっと混乱!
(意図してやってるんでしょうが…)

フェチズムを強く表した作風は往年の大林宣彦イズムを感じるが、
まだ荒削りで突き抜ける域にはいってない感じ
(と思ってたらNHKのドキュメンタリーで大林宣彦が岩井監督にコメントしてたのが感慨深い!やっぱり通ずるものがあるんだなと!)

正直、初見はアイナさんの歌声も上手く表せてないんじゃないかと思っていましたがKyrie 1st Album「DEBUT」を聴いて納得!
このCD込みで完成するんだなと思いました!

逆に七尾旅人さんの歌声は、
映画だけで「特別性」を強く感じ、際立っていました!

あと子役の矢山花さん!メチャクチャ良かった!
セリフの少ない中で、しっかり存在感を発した彼女のキャスティンは大きい!

恐らく、監督自身が自分のキャリアとして
新たなステージを目指した挑戦作だと思うので、
ここからまた数年後に出される岩井俊二作品が楽しみになりました!
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