EmiriSuzuki

キリエのうたのEmiriSuzukiのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
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昨年の公開当初にも気になっていたが見逃しており、MorcさんでどうにかDVD化前にすべり込み鑑賞。
徹頭徹尾、アイナ・ジ・エンドの音楽の作品で凄かった。アイナに岩井監督が出会って衝撃を受け、この作品を仕上げてしまうのはすごくよく理解できた。そういうインスピレーションを与える人だなと思って私も、特にソロでのアイナのことを観てきた気がする。

「夜明けのすべて」でとても気になってしまった松村北斗の過去作を追うという意味もあって重かった腰を上げて観てみたけども、3時間強の大作であり、13年に渡る時間を登場人物それぞれが生きていて、そのの断片的なものがパッチワーク的に繋げられていく様は、鑑賞後にしばらく経ってから重みを感じてしまって後から疲れがくる(褒めてます)。

回を重ねて観て確認したい箇所も幾つかあるものの、生半可な気持ちで二度目を観るとさらに抉られそう、という気がしてしまって結構怖いなと思ったりもした。

石巻へ久々に行ってきてから、また観ようかなと思う。
まおりちゃんの部屋で夏彦が歌い始める場面がなんだかほっとして、やや笑えて、よかった。

あとは虹郎の存在感もよかった。安心。
音楽映画だったなあ

(追記:ちなみに、あまりにもいろいろ気になってきてしまったので岩井俊二の小説版「キリエのうた」も読んでみたが、これは小説とセットにして噛み砕かないと、映画だけだとあまりに詩的に切り取られすぎてて、正直内容半分くらいしかわかっていなかったかも、と思いました。特に夏彦。なるほど、きみはそういう人だったのか。正直、夏彦スピンオフが必要なくらいの話だった。

そして自分自身が2011年3月以降に東北と関わる中で感じたり考えてきたけれどまだまだ言葉になりきっていないもののことをたくさん思い出させられた)