東京の片隅でトイレ清掃員として規則正しい生活を送る平山さんの一週間ほどの生き様を淡々と描いた作品。
台詞もほぼ無く、平山さんの毎日のルーティンを5回ほど繰り返すだけの、まるでドキュメンタリーのような作品だが、演者は日本一の名優、役所広司である。一言も発せずとも主人公の悲哀や喜びを伝えてくる。過去作のすばらしき世界でも圧巻の演技であったが、この作品は更に純化された役所広司の世界を見ることができる。ラストシーンの喜びとも悲しみともつかない主人公の表情は、まさに彼の真骨頂だと言えるだろう。また、東京の芸術的なトイレ群の美しさも見どころの一つである。
