もやし

PERFECT DAYSのもやしのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0
何と言うか私にとってこの映画は、これからの人生の参考にするために見ました。映画オタクとしても気になってはいましたが。

シネコンなのに全席埋まっていてビビリました。60代70代が多かったかな? 何でその世代に興味を持たれたのかは全然わかりませんが。今までどれだけ世界で評価された作品でも席なんて埋まらなかったのに。


人生の参考というのは今の、これからの私の労働の参考に、ことでした。

私は小学生向けの塾で丸付けとちょっとした指導のバイトをしています。後は障害者施設で労働力の向上の名目で清掃作業をしていました。
その清掃作業がとにかくキツくてキツくて…
決意して始めて一ヶ月で辞め、また挑戦しては辞め、の繰り返しです。清掃の仕事は本当に大変です。
そして学歴なし職歴なし障害ありの関係で年齢の上昇と共に仕事の選択肢も減るでしょう。そんなこんなでこの映画は見たかったのです。



役所広司は清掃の仕事をしているが、この仕事を観察していると、誰も目も向けない。お礼も言われない。むしろ汚い存在。近しい人には見下される。フラットに見てくれる人はいるけどね。


最初見ていると、この人ってただのルーティンに囚われてる拘り男なのかなと思ってしまったけれど、後々の展開でそうでもないことがわかる。そうするとやはり人が良い人なんだなと。
結構周りに興味深い人がいて面白い。一番好きなのは、いつものベンチで昼飯食ってると必ず隣のベンチで同じく昼飯食べながらジーッと見てくるOL。会釈しても反応一つ、表情一つ変えない。でも目線はジーッと合わせたまま。何なのこの人笑


私も笑えるシーンは沢山あったのですが、よくわからないタイミングで結構な笑いが起きていたので、ご老人方特有の面白味があるのかなとちょっと羨ましかったです。
逆にSpotifyのくだりは誰一人笑わなかったのが面白かったです笑 鑑賞しているご老人方も本当に知らないんだろうな。


ちょっと気になったのは、主人公が無口すぎるところ。基本的にはそれでも何とか通用するのですが、流石にスナック?までわざわざ来て無言ってのもねえ… まあいつも基本的に笑顔で優しそうなので良いんですが。

そしてかなり気になったのが、そもそもこの映画の作り手が意図的に「一見つまんなそうな人生でもそこには歓びが溢れている」という俯瞰的な、というか上から目線?を正直感じてしまいました。自分は幸せだけど、そういう世界に焦点を当ててみました的な。幸福の押し付け。本人がどう思ってるのかどうかなんて誰にもわからないのに。



まあ色々書きましたが、とても幸せな映画体験でしたし、この映画を忘れることはまずないだろうなと思います。

俺がこの人と同じ年齢になったとき、俺はどんな生活をしてるんだろうなあ…


どうでもいいですが、毎朝仕事前に自販機で買う飲み物がBOSSのカフェオレで、俺がいつも飲んでるやつでちょっと嬉しかったです笑 美味いですよねあれ。太りますけど笑
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