方眼

PERFECT DAYSの方眼のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
2023年。監督の新作を劇場で観るなんて「ベルリン・天使の詩」以来。男のルーティンを愛でる映画、メルヴィル「サムライ」やジャームッシュ「パターソン」。刑事の日常のように、玄関にポケットの中のものを並べる、これはハードボイルド。そう思って観てたので、キリフキを銃のように持ってそっと階段上がるシーンで、吹く。監督と主演がラッシュ見てクスクス笑ってるの想像。清掃服は青、木は緑、部屋は紫とオレンジの灯り。高速の標識は緑と紫。”ヴェンダースの赤”は、空き地の親父の帽子と、感情が爆発するシーンの車のバックライト。ルー・リード、ヴァン・モリソン、オーティス・レディングなどをカセットテープで聴く。パトリシア・ハイスミス、幸田文。BOSSのカフェオレ買うとこは、カメラ位置が360度変わる。◯✕のコミュニケーション。古レコード屋のラストショットで右にいたの監督かな。写真屋の親父は思った通り柴田元幸先生。歌うママや、”今度は今度、いまはいま”のシーンなど、外国人が撮ってるとは思えない。夢と覚しきモノクロは品が良く、何が見えるかのささやかなサスペンスになっている。出かけるとき上を見上げる。ちょっと嫌なことがあっても目線をずらしておかしみを見つける。公園の踊り人は、たぶん木の精に見えてる。休みの日だけ腕時計するのはスナックの開店時間のため。仕事用の折りたたみ携帯は持ってるが私用には使わない。姪と飲み物、相似形で小津のリズム。毎日を大切に生きる平山、それでも過去(妹)と未来(スナックママの元夫)が日常に侵入してくる。光と影、複雑に入り組んだ感情、車の中の照明。銀座線浅草駅で呑みたくなった。
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