じょうパン

PERFECT DAYSのじょうパンのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
一言で言うと良い映画だなぁと思いました。決して全部が日常とは言い切れないけど、観ていて凄く心地が良かったし、自然と笑みが溢れていて、凄く観て良かったな感じる映画でした。日本のローカルな部分が多く映像に映されていてそれもまた良かったなと思いました。

◻️脚本
簡単に言うとトイレ清掃員である平山の日常を描いている脚本でした。客観的に見れば最初の2日くらいはほとんど同じ事を繰り返している映像だなと思いますが、平山目線になると他の人が同じ事を毎日繰り返しているだけに見えても、1日の中でちょっと天気が違うだけでも平山にとっては違う一日なんだというのが伝わってきました。

◻️映像
映像も本当に良かったです。家の中で階段と2階の両方を半分ずつ映す画角が多くてカメラをパンしなくてもどういう状況か伝わる映像で最高でした。また全体的にカメラが少し揺れている映像が多かったのです。三脚にカメラを固定してないのかな?って思いました。
あとは、本屋で平山が入ってきた瞬間少しドリーズームをしていて何故そこでドリーズームをしたのかが気になりました。
映像の比率がシネスコではなくおそらく4:3だと思いますが、なぜこの比率にしたのか観てた時は分かりませんでしたが、見終わった後におそらく平山が過ごしている世界はアナログで他の人が暮らしている世界がデジタルだと考えると本作は平山目線の映像なので平山の世界であるアナログ、すなわち4:3という比率になったんだと私は考えました。(あくまで予想です)
なのでシネスコではないのは納得しましたし、4:3で良かったと思いました。

◻️演技&キャラクター
平山演じる役所広司さんは確かに上手かったです。セリフではなく、顔の表情で訴えかける演技はなかなかそう簡単にできる事ではないので素晴らしいなと思いました。少年のような反応の演技が可愛くて観ていくうちにおじさんでも平山の事が好きになっていきましたww
特に3つの反応が好きでした。アヤが車までキスするシーン、ニコが急に着替え出すシーン、居酒屋のママが知らない男性とハグしているところを見るシーン、この3つどれも慌てて逃げ出したりバタバタしている動きが面白くて良かったです。
あとは全体的にセリフではなく動きでその人の心情を見せるのが良かったです。かなり最初の迷子の子供の手を握ってお母さんを探して再開するシーンで、お母さんが何も言わずに除菌シートを取り出し子供の手を拭くことにより、トイレ=汚いとこのお母さんは捉えているんだと伝わってきて良かったです。
逆にキャラクターの中でちょっと微妙だった部分もありました。透明なトイレが鍵をすると見えなくなる仕組みのトイレをわかっていない黒人の女性がいたのですが、別に黒人が嫌いとかではなく何故黒人にする必要があったのか、別にお年寄りの日本人でも良かったと思ったので黒人にすることによって逆にポリコレっぽくなったのが少し微妙でした。また同じ清掃員のタカシの耳を触りにくる子がしょうがいを持っている子なのも気になりました。これは私の考えが良くないかもしれないですが、しょうがいを持っている子に優しく接しているからなんか嫌いになれないというタカシのキャラクターを作ってると感じてしまい、別にしょうがいの子じゃなくても普通の子供でも全然成立するんじゃないかなと思いこれもあの子を起用する意味が分からなかったです。

◻️謎
この作品は結構謎が多く散りばめられてて、何か発展するかな?と思いましたが結局何もなく終わりましたが、なぜかモヤモヤはしなかったです。なんだろう日常でもこういう発展しそうで発展しないみたいなのが妙にリアルで謎が謎で終わっても発展しなくても納得できました。

主に謎だった事です。
・ホームレスの人の行方
・トイレでの手紙のやり取り
・昼ごはんを食べている時、隣のベンチに座っ     ていた女性

逆にどうしても気になったのが、平山さん毎回家出る時に鍵をかけていないのが気になりました。多分そんな深い意味は無いだろうけど、観ていて「これ泥棒はいられるやろ」とは思いました。
あとは毎回寝ている最中に流れるモノクロの映像が私の考えとしては、木の葉が風に吹かれている映像とその日に起こった出来事の映像が流れているなと思いました。出来事の映像は流れていて理解できますが、葉っぱの方があまり分からなかったです。

◻️まとめ
映画ファンの中では知られている作品ですが、映画に詳しくない人にも観てほしいなと思える映画でした。役所広司演じる平山さんの事がとても好きになりました。観終わったあの幸せな気持ちとモヤモヤ感があったのはおそらく平山さんの事をもっと観ていたいと気になっているという、つまり好きな人ができたみたいな感覚になりました。
パンフレットも手が凝っていて、観終わった後も楽しめるので是非買ってほしいです。
2023年公開の映画で個人的にTOP3でした。
本当に良かった!
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