まや

PERFECT DAYSのまやのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

なんて素晴らしい作品なんだ。映画館で観られてとても嬉しいし、ヴェンダース監督で今まで見た作品の中では1番好きな作品になった。

繰り返される日常。そんな日々の中にも小さな変化があって、人とのつながりがあって、それを慈しむようにとても大切にして生きている主人公。多くを望まず、今この瞬間を生きている。何か大きなことをするのではなく、日々をきちんと生きていて、生への単純な肯定の映画だったし、生き方の一つが提示されていて(なかなか難しいが)とても今の自分の心には深く刺さった。

役所広司さんはあまりセリフを言わないキャラクターなのに、その独特な雰囲気が伝わってきて、本当にすごい役者さんでかっこいいなと思った。最後のシーンもすごく心に残るシーンだった。

また、浅草や下町の夕陽が映し出されるシーンは美しくて、よくあの辺を散歩した時に感じた感情を思い出させられて少し切なくなってしまった。東京の美しさがいくつも切り取られていて、同監督の『東京画』の時も感じたものが健在していた。小津監督への敬愛も感じた。

主人公はあえてあの生活を自分で選んでいて日々を生きている。その瞬間を大切に、人との繋がりを求めるわけではなく、だけど相手に寄り添うことは忘れず大切にしている。こんな生き方ができたらなと思った。

エンドロール後の木漏れ日という日本語の意味に涙が出てきた。美しさを切り取って日々生きていきたいし、人生において大切なことを教えてくれる作品だった。(この日々にパーフェクトデイズとつけるのも素晴らしい)
まや

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