TOBE

PERFECT DAYSのTOBEのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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恥ずかしながらヴェンダース監督の作品を観たのは初めてだったのだけど、なんて良いんだ…。日本を舞台にした日本の話なのに監督が違うだけで一般的な邦画とこんなに違うんだな…

影のワードが文字としてスクリーンに出る前から、平山の自己認識が良く分かるシーンが数々散りばめられていたし、台詞が少ないことで(これも平山の表現の一部だと観ていくうちに分かってくるけど)画に目がいく。説得力のある、それでいて自然で、良い画。余計なカメラワークも無いし、アスペクト比も新鮮だった。ヴェンダース監督ではよく使われていたりするのだろうか、この監督を初めて観るという勉強不足を恥じた。いやそんなことよりも、とにかくメッセージが沢山ある素敵な映画だった。おれが働く恵比寿駅とたこ公園のトイレでリアルさアップ。入り込んだ。

平山の少ない台詞や行動が、説明なしに人物像の語りになっているところなんかがとても良かった。時計はあるけど、しない。ベンチはあるけど、座らない。でも、この日はする、この日はしない。したいこと、したくない(必要ない)ことの行動が、彼の価値観をすごく巧みに表現してた。説明過多じゃないのも良い。説明してないのに言いたいこと解るもん。洗練されてたな。

それまではヒキの一発だった通勤のシーン、ラストカット、彼は毎日あの顔で高速を走っていたんだろうか。それともあの日だけ?全ての感情が混ざったような平山の表情。
あなたはどう思いますか?って監督に聞かれてるみたいだった。

毎日何も変わらないなんて、そんなバカなことないんだ。積み重ね。木漏れ日。なんでも良い。そうありたい。
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