クワノサローネ

PERFECT DAYSのクワノサローネのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

役所広司さん演じる平山さんは
渋谷のオシャレ公衆トイレ群の
「The Tokyo Toilet」の清掃員
そのトイレ清掃員の
一見退屈そうで寂しく見えるけど
完璧で美しくもある日常を追ったドキュメンタリー映画でした

平山さんはスカイツリーの麓、
押上のボロ屋に住んでいて
毎朝陽が上るか上らないかくらいの時間帯に早く起きて歯磨きして植物に葉水して作業着に着替えて自販機で缶コーヒーを買ってカセットテープを聴きながら仕事に行って帰ってきて近くの銭湯に行って浅草の地下街のせんべろ居酒屋で飲んで小説を読んで寝るルーティンで暮らす
時々コインランドリーで作業着や私服を洗濯して
フィルムカメラの写真を現像しにカメラ屋さんに
百円の文庫本を買いに古本屋さんに
あとは気になるスナックの美人ママにも会いに行く

フィルムカメラや
カセットテープを愛し
木漏れ日を見つけて微笑んだり
普段人が見逃しがちなことを大切にし
丁寧に生きている
その姿は世間的にはカッコ悪いのかもしれないが
身近にしてみると逆にカッコよく羨ましくもある
清潔感があり妙に品があるからかもですね
演じているのが役所さんだからというのももちろんありますが

また毎日の仕事には誠実に向き合い
雑に使われゴミが散らばって汚くなっているトイレを完璧に綺麗に掃除する
ノズルってそう掃除するんだという発見もある
決してサボらない
本当にトイレ掃除してるの?っていう妹のセリフにはトイレの清掃員の立場を本来兄もいた自分の社会的立場と比較して下に見ているニュアンスが込められているだろうが
そんな考えを持っていることが情けなくなるほど平山さんはトイレ掃除をしててカッコいい

極めつけに
お金がないと女にモテないとタカシは嘆いていたけど
お金のない平山さんは結果的にモテていましたね
ほっぺにキスされてましたし

設定ははっきりとは描かれてないですが、
元は金持ちの家の長男で
社長である親父と訳あって喧嘩して
妹に家の後継は任せ出て行った感じでしょうか
仕事ができたり品があるのもそういう背景があるからですかね
都会っ子の姪っ子が心の拠り所にするのもわかるくらい片肘張らない誠実な生き方をしていてここもまたカッコいい憧れる

完璧な人生はこういうことなんでしょうかね

後は海外の監督が作っているからか、
日本の映画なのに
日本じゃないような
口数が少ない
ノンバーバルな映像だったかなと思います

トイレ巡業今年したいですね
とても好きな映画です