カレーラーメン

PERFECT DAYSのカレーラーメンのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

色んな感情や記憶、奥底にあった意識が引き出されていった。

平山の生活はいわゆる"良い"ものではないが、どこか満ち足りているという感覚、それは平山の表情がとても良いから、家の扉を開けて空を見上げたとき、お気に入りのカセットを聴きながら運転しているとき、トイレ清掃中に木漏れ日を見かけたとき、などなど。

彼は"しなくてはならないからしている"のではなく、"自分が気持ちいいことをしている"のだなと思った。そして、ルーティンを崩さないこと、それが彼の日々を心地良いものにしているのだと思った。

人との関係は、自分の心地良い距離感は崩さず、でも人との関わりは避けない。高橋に情を持ってしまう人間らしさや、お昼休憩にじっと見てくるOLに会釈をする心のゆとり、知らない誰かとまるばつゲームをする遊び心。

人の悪意や理不尽は自分の中にあまり残さず、良いなと思ったものをしっかりと捉える。
怒るときはちゃんと怒るけど、それを引きずらない。

彼の中を通る事象は、濾過され、綺麗なものが少しずつ溜まっていくようだった。
素晴らしい日々というのは、彼のような人が送れるものなんだなと思った。

どうにもならない過去があっても、そういう日々を送ることはできるのかもしれない。

役所広司と三浦友和が戯れるシーンはいちばん好きかもしれない。影が重なって、何にも変わらないなんてあるはずがない、うん、良い方に変わるといいね。

ほかにも感想が多すぎるので割愛する。