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PERFECT DAYSのmasayaredfordのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


ヴィムヴェンダース監督。
いま俺が1番観ている映画監督です。
そして今作では役所広司がカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞して、今年のアメリカのアカデミー国際長編映画賞にノミネートされているのでフランスとアメリカでも評価されているいまノリノリの映画ですね。

ちなみに原題が「パーフェクトデイ」で邦題が「ロープ戦場の生命線」という俺の大好きな映画があるのでこの作品は「デイズ」になったんやろうと妄想している。

で!率直な感想を言うと、企業のプロモーションビデオに思えたね。俺にはこの映画は企業のニオイがぷんぷんした。それはやっぱり抜きにはできひんなぁとは思う。
ヴィムヴェンダースがやりたかったことをどれだけできたのかとても気になる。
平山という主人公の名前をOZ(小津安二郎)映画に寄せているのもヴィムヴェンダースの感性やったのか。それとも製作者側の提案なのか。OZファンのヴィムヴェンダースが付けたとは直感的に思えない。本当のファンはそういうものやろう。なのでそのあたりも俺は気になる。

公衆トイレならではの汚さの演出がまったくないのが不自然やったけどあれは製作者側の関係なのか俺にはわからんけど不思議ともう少し汚い場面が観たかった。

この映画を観てから日に日にあれは何やったんやろうと感じる。そして1つこの映画が伝えたいことを俺なりに解釈しました。
この映画の主人公の平山は、裕福な実家を飛び出して自ら労働者として生きる道を選んでいる。それはファイブイージーピーセスのボビーとも繋がるし、親子の確執というアメリカンニューシネマ的な要素もあって自らの選択でドロップアウトしたとも思える主人公の生き方はヴィムヴェンダースらしい。

「パリ、テキサス」のようにこの映画も説明が極力ないのがいい。
それを表している最後の長回しのシーンはこの映画の象徴となるやろう。あのシーンはジャックニコルソンのアバウトシュミットの結末とも重なる。

主人公の平山さんの音楽のプレイリストを聴く映画でもあるんやけど、まさかニーナシモンで〆るなんて思ってもなかった。
オーティスレディングやヴァンモリソンも流れるけど、最後にニーナシモンをチョイスしたということだけで考察するとやっぱりこの主人公は自由を求めてもがきながら生きてるんやと感じる。
それは決して裕福だった頃の自分にはない自由な自分を探すために。

70年代に自由を求めた表現者たちが50年後もう一度現代の自由を表現しているのだとしたら反体制的な最高のカウンターカルチャー映画なのかもしれん。

そう考えると1人のおっさんのカウンターカルチャーな生活を観たのかもしれない。
実際にモノクロのフィルムを買って現像するのはかなりリッチな生活なので、平山のおじさんから貧相さは感じられない。
人それぞれ居心地のいいライフスタイルがあるように、現代版「江分利満氏の優雅な生活」とでも言えるような平山氏の優雅な生活をこの映画で観ることができる。
それは一度自分の人生からドロップアウトしてるから発見できた木漏れ日を探す平山スタイルなんやろう。
考えれば考えるほど「イージーライダー 」「ファイトクラブ」「カッコーの巣の上で」側の映画に思えてきた。

とりあえずニーナシモンなんやからこの映画は現代社会のカウンターカルチャーや。
俺はそう捉えたぞヴィムヴェンダースさん。
もう一回観るわ。
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