繰り返しだけど、繰り返しじゃない日々の
機微、美しさ、儚さ。
ずっと観ていたくなる心地よい美しい映像
こんなにも心満たされ、幸せな気持ちにしてもらえるとは思っていなかった。
シンプルな構成であるにも関わらず画面に見飽きることが無かったのは、役所広司さんの凄さなのだろうな…
特に最後のシーンは本当に感動させられた。
一方で、冒頭のシーンから感じていた自分の中での違和感についても考えさせられた。
まっさらな気持ちで映画の世界に没頭したいという思いから、観る前はなるべく情報を入れないようにして鑑賞に臨むのだが、この映画は所々に微かな違和感が散らばっていて映画の世界観に没入しきれなかった。
トイレの清掃員というイメージとは離れたスタイリッシュで大きなロゴの作業着(これはこれでステレオタイプの偏見ではあるのだが…)を着て階段を降りる平山。
映画を観に来たはずなのに、なにか壮大なcmを観ているみたいだな…と、鑑賞中に感じていた違和感。
観終わってから知ったのですが、この映画は大手企業が共同で進めているプロジェクト「The Tokyo Toilet」のタイアップ企画、つまり巨大なcmだったのですね。
だからどうというつもりは全く無いのですが
映画自体がとても好きな内容だったので
その事実を知った時に興醒めしてしまった自分に戸惑ってしまった。
映画のコピー 「こんな風に生きていけたなら」
本当にその通りだし、平山のような生活(たとえささやかでも、自分以外の人にとっては取るに足らない日常だとしても、わたしにとっての幸せピースを積み重ねるような) 木漏れ日のような日々をわたしも送りたい、こんな風に在れたらと素直に思う。
だけど、それを言われる相手次第で
こうもすんなり飲み込ませてくれないのだなあ
という自分の中での新たな気づき。
そんな小ちゃな違和感に翻弄されることなく
純粋に映画を楽しめる、豊かな心を持ちたい
とも思う。
わたしにとって
とても価値のある映画体験でした。
