ろく

PERFECT DAYSのろくのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.9
優しく清々しい映画。まさにこもれびのよう。
あらすじから想像されるストーリーとは真逆の作品でちょっと驚いた。
仕事には淡々と、かつ手を抜かず丁寧に取り組む役所広司がとてもかっこいい。
大都会のトイレの清掃員という仕事をかなり美化していると思うが、そこは主題ではないので目を瞑ることとする。
贅沢ではないが健康的な生活で正直羨ましかった。現実にはこうはいかないので。

昨今聞く「ていねいな暮らし」という表現があるが、平山の暮らしは個人的にかなり理想の「ていねいな暮らし」だった。
趣味のものは持ちつつも部屋はものが少なくさっぱりとしており、流行に流されず、ベタベタしすぎないほどよい距離感の"いつもの場所"が各所にある。
寡黙な平山だが愛想が悪いわけではなく、むしろ感情は豊かで、仕事の日と休みの日にはそれぞれのルーティーンがあり、たまに予定外の事があってもそれを楽しむ余裕がある。
1階の冷蔵庫周りだけ雑然としているあたり、過去にあった物事を乗り越えて現在の生き方へ至ったと思われる。
セリフがとても少ない分、役所広司の微細な演技が光る作品だった。

それにしても東京、変わったデザインのトイレが沢山あって面白い。
ろく

ろく