だんだん

PERFECT DAYSのだんだんのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

無声な時間が長い分、
日々の生活音に耳を澄ます。

早朝から掃除するおばあちゃんの竹箒の音。水道、歯磨き、髭剃り、霧吹き、鍵、小銭、自販機から缶コーヒーが落ちる音。パターソンの映画のようにルーティンが何度も描かれることで、平山が受ける外的影響が色濃く映し出され、日常が揺らぐ。

平山はどこか物静かな仙人のような趣でありながら、感情豊かである。
ラストはきみの鳥は歌えるの石橋静河の正面からの長いカットが想起させられた。何も言えなくなる。虜になる。

影がさまざまな形で扱われており、夢、影を写したモノクロ写真、影を重ねたらのところ、こうした絵としての描写だけでなく、トイレ清掃員として生活も影のように扱われている。けれども、木漏れ日とは影でありながら光でもある。どちらもあって木漏れ日になる。その説明書きが最後にきたことに、どちらもそのまま受け止める意思が示されているように思われた。

自分の中でやり切ることやささやかな楽しみをもつ平山の軸はとても美しく映りながも、その美しさはある種の潔癖さであるような気もした。
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