製作背景の歪さを考えると観るべきでない気がしていたけれど、ヴィム・ヴェンダースが撮る今の東京を、どうしても見てみたかった。
環世界(やそこに付随する社会階層)は交わらないけれど、日々の連なりのなかでオートマティカルに表出するものを慈しむ。そんな日本的な「道」を描いた作品だと思った。手触りを整えた「男」の黄昏であり、女性キャラクターの表象は前時代的だけれど。ラストシーンの"Feeling Good"にぜんぶをもっていかれて、軽率に木漏れ日を求めてしまうのが悔しい。
今はただ、この映画がプロパガンダにならないことを願う。